東大院生ショータのなるほどアウトプット~バイオ研究者への道~

生物学系研究者を目指す大学院生のブログ。学びや気付きのアウトプットをしていきます。

総研大という選択肢ー国立遺伝学研究所 大学院一日体験会に参加しました

 

2017年5月20日、静岡県三島市にある国立遺伝学研究所の大学院一日体験会に参加しました。

 

 

2周間以上前の話やんどんだけ遅筆やねん

 

 

 

遺伝研とは?総研大とは?

国立遺伝学研究所(以降、遺伝研)は、遺伝学の最先端研究を行う研究機関であり、同時に総合研究大学院大学(以降、総研大)遺伝学専攻として大学院教育を行う教育機関でもあります。

 

総研大という名前に聞き馴染みの無い方も多いと思います。総研大は簡単にいうと、研究所で大学院教育を行う国立大学院大学です。各研究分野において全国の大学が共同で利用できる大学共同利用機関という研究所をベースに、そこで院生の教育も行い、優れた研究者を育てようというコンセプトです。遺伝研は大学共同利用機関の一部で、他には基礎生物学研究所国立天文台国立民族学博物館など多岐にわたる分野の研究機関が総研大に含まれます。

 

遺伝研は歴史ある研究所で、設立は1949年に遡ります。1960年代から70には遺伝研の木村資生が中立進化説を提唱し世界の遺伝学、進化学に大きな影響を与えました。現在では、中立進化説はダーウィン進化論と双璧をなす進化理論と考えられています。現在も世界最先端の遺伝学研究所が行われています。

 

 

遺伝研の大学院教育

遺伝研は総研大の遺伝学専攻として、5年一貫の博士課程と3年間の博士後期課程で大学院生の教育を行なっています。ここで注意しておきたいのが、博士号取得を前提としているということです。これは基礎生物学研究所など他の総研大所属研究機関にも言えます。要するに、修士号を取ったら就職しようという人には全く向きません。逆に、博士号を取得し本気で研究者の道を目指す学生にはこの上ない環境といえます。

 

基本は研究所なので、一般的な学部とセットになっている大学院と異なり学生の数は少ないです。逆に言えば学生一人当たりの教員数は多く、遺伝研では1.4人となっています。入学当初から一流の研究者と密に接し、揉まれながら学ぶことができます。また、講義やセミナーは全て英語で行われ、卒業後に海外の研究機関に進む人も多いそうです。ある先生は「理研にいた頃より英語を使う。先生側も大変」とおっしゃっていました。

 

 

興味のある分野が定まった⁈

遺伝研の先生とお話するうち、すごいことがわかりました。別々の研究機関に所属する、面白いなと思っている3人の先生が皆同じ留学先だったのです。つまりルーツを同じくする先生方ということです。そして遺伝研の先生にこう言われました。「君の興味は漠然としているようだが、案外ピンポイントなのかもしれない。」

 

そのピンポイントとは、「新規形質の獲得」。言いかえると、生き物は新しい特徴をどのようにして獲得するのかということです。そしてそれは現在の進化学のメインストリームの一つを捉えているそうです。

 

 

 

というわけで漠然としていた進化学に対する興味が随分整理され、静岡まで足を伸ばした甲斐があったなと思います。事前申し込みで交通費片道分を補助していただける制度が非常に助かりました。