東大院生ショータのなるほどアウトプット~バイオ研究者への道~

生物学系研究者を目指す大学院生のブログ。学びや気付きのアウトプットをしていきます。

『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』レビュー:哲学者の出した答えは「めっちゃ○○しろ」だった!?

哲学って興味はあるのですがなんだかとっつきにくくて勉強する気になれていませんでした。そんな折、出会ったのがこちらの本です。

 

小林昌平 著 『その悩み、哲学者がすでに答えを出しています』

 

 

 現代を生きる私たちのよくある悩みに対し、哲学者がどのように考えどのような結論を出したのかを簡潔にまとめた形式になっています。将来食べていけるか不安、とか他人から認められたい、お金持ちになりたいなど誰もがもつ悩みとその解答が25個も紹介されているので誰が読んでも共感できる部分があるでしょう。

 

 この本を読んで気づいたことは、多くの哲学者の解答に共通するエッセンスとして「目の前のことに集中せよ」という要素があることです。古代ギリシャを代表する哲学者アリストテレスは、「将来の目的を度外視し 、今この瞬間に集中する行為 」を エネルゲイア (現実活動態 )的な行為 」と呼び、プロセスそのものに没頭する大切さを説きました。ハンガリー出身の心理学者ミハイ・チクセントミハイは自分の持てる能力をギリギリまで使ってクリアできるかできないかの課題に我を忘れて取り組む状態を「フロー体験」と呼び、フロー体験こそが幸福感を生み出すと語っています。13世紀の禅僧である道元は、日常の些末な仕事を動く座禅と捉え自分を忘れて集中することで悟りに近づくという禅僧の境地を「身心脱落」と表現しました。時代も洋の東西も問わず、「今に集中する」という趣旨の言葉を変えて繰り返し登場するのです。

 

 

 そういえば先日、飲食店でアルバイトをしていたとき、いつもよりお客さんが多く入って忙しかった日がありました。注文を取って料理を出して皿を洗ってお会計をして、と息つく暇もなく数時間働きましたが、終わった後不思議と爽快感があったのを覚えています。目の前の仕事に全力で集中しているとき、人間はあらゆる悩み事から解放されます。集中することは究極の悩み解決法と言えるでしょう。

 

 ともするとスマホでゲームをしてしまったりSNSをチェックしたしまったりと、何かと集中を妨げるものが多い現代ですが、スマホを使う時間を決めそれ以外は電源を切るようにしてから集中力が改善し、気持ち良く勉強や実験が出来ています。家事などダラダラやりがちなめんどくさい作業も、時間を測ったりして集中してなるべく早くやってしまうようにすると終わった後充実感が得られました。あらゆる悩みから解放される最強の仕事術として、これからも集中を大事にしていきたいです。