東大院生ショータのなるほどアウトプット~バイオ研究者への道~

生物学系研究者を目指す大学院生のブログ。学びや気付きのアウトプットをしていきます。

虫展に行ったらめっちゃヘコんだ話

昨日2019年10月22日、六本木の21_21 DESIGN SIGHTというところで催されている「虫展-デザインのお手本-」に行ってきました。

 

f:id:Shota_output:20191023103649j:plain

昆虫の不思議な色や形に注目しデザインのお手本として捉え直そうという企画展で、昆虫の形態の面白さから生物学に目覚めた自分にとってはまさにドンピシャな内容。

 

 

 

 

で、行ってみてどうだったかというと...

 

 

 

 

 素晴らしすぎて...

 

 

 

 

 

 

 

めちゃくちゃヘコみました(T . T)

 

 

 

 

だって、今ラボでやっているようなウェットな実験をちまちまやっていても、生物の多様で美しく不思議な世界をわかりっこないということを思い知らされた気がしたからです。もちろんウェットな実験を否定するものではないのですが、モデル生物だけ見ていると忘れがちな生き物の多様性、奥深さを改めて痛感した次第です。

 

f:id:Shota_output:20191023103840j:plain

約700倍に拡大したシロモンクモゾウムシの脚

生物の形がどのようにして作られるか?が自分の問いで、今のラボもその問いにアプローチしているところを探して選んだわけですが、すでに様々な知見が蓄積されているモデル昆虫のショウジョウバエですらその形作りの仕組みが「わかった」という感じにはまだ遠いのです。「なんでそんな形してるんだよ!」とツッコミたくなる昆虫が数百万種もいて、それぞれの発生過程でin situ ハイブリダイゼーション(遺伝子がどこではたらいているかを調べる実験)をやるなんて絶対無理だ!!!!

 

 

 

というわけで昆虫たちから挑戦状を突きつけられた気分でした。

 

f:id:Shota_output:20191023104404j:plain

多種多様な昆虫たちの標本

 

 

同時にテクノロジーによる新たな可能性も感じさせてくれました。

企画では肉眼では見えない小さな構造まで高精度で表現できる画像処理や3Dモデリングなどをふんだんに活用して虫をアートに昇華させていました。このような技術とゲノムや遺伝子発現といった生物データを結びつけた研究はもっと展開されていくかもしれません。生物学という分野を飛び出して最新のテクノロジーを学ぶ必要性を痛感しました。

f:id:Shota_output:20191023104117p:plain

映像作品「虫のかたち」のひとコマ

 

 また、基礎研究には一般市民のファンの存在って大切です。超基礎研究の天文学はたくさんの市民天文ファンがいますよね。病気が治せるだけが生物学ではなく生き物のすごさや命の不思議さに向き合うのが生物学で、そういった基礎研究にはやっぱり市民ファンの後押しが必要。このように様々な形で生物の面白さを伝える方々がいらっしゃることに感謝すると同時に、自分も発信できるようにならないとなと思いました。

 

 

 

というわけで、昆虫の摩訶不思議で美しい世界をアートに昇華して見せてくれる「虫展-デザインのお手本-」、虫が好きな人も嫌いな人も一見の価値アリです。

 

 

2019年11月4日までの 開催なので、お急ぎを!