しばらくインドでの国際学会シリーズにお付き合いください。
成田からムンバイ空港まで10時間超のフライトを終え、すかさずプネーまで4時間の車移動でインドのカオスな空気感に圧倒されながらやっとのことでホテルに辿り着きました。宿泊費を浮かそうと学会会場の高級ホテルには泊まらず、あえてそこから1kmほど離れたローカルのホテルを学会HPから予約していたのですが、それが間違いの元でした…
フロントで名前を告げるのですが何故か聞こうともしてもらえません。おかしいなと思っていたら、「部屋はない。そもそもここはインド人限定で、外国人お断りだ。」とのこと。予約したはずだと食い下がったのですが全く取り合ってもらえず。結局、夜のインドで宿もなく1人放り出されてしまいました(汗)
仕方がないので会場の高級ホテルまで歩いて行って空き部屋があることを祈るしかありません。リュックサックとキャリーケースと学会発表用ポスターの筒という大荷物でデコボコな道路を歩いていると後ろからすごい勢いで呼び止められました。
“Hey ! Hey! You!!"
(いやめちゃくちゃ怖いって)
振り返らず逃げようかと思ったのですがあまりにしつこいので後ろを向くと、白い原付に乗ったインド人の兄ちゃん(年齢不詳)が僕のネックピローを持って「落としたよ。お前のだろ?」と妙に笑顔で言ってきます。リュックにぶら下げていたネックピローが気付かず落ちてしまったのを拾ってくれたのでした。
「どこへ行くの?」と聞くので「向こうのホテルまで歩いてるところだ」と答えると、「それだけ荷物があったらかなり遠いよ。乗りな?(キラーン☆)」と原付バイクの後ろを親指で差します。
やべぇ……どっかへ連れて行かれたらどうすんだ…
と思いましたがインド兄ちゃんの真っ直ぐな瞳に邪念がないことを直感しました。
捨てるインド人あれば拾うインド人あり。
結局、目的地のホテルまで現地人の原付に2人乗りして到着するという稀有な体験をするに至りました。とは言え1kmなのでバイクだとあっと言う間。前記事の動画を見たら分かると思いますが、もちろんヘルメットなんてしません(笑) でもけっこう安定感ありましたよ。
現地のお金をまだ持っておらず「ありがとう。あいにく渡せるお金は今持ってないんだ」と言うと「NoNoNo ! お金はいらないよ!」と言ってくれたのでやっぱりいい人だったみたいです。たまたまリュックに入っていた食べかけのガルボを「This is Japanese chocolate !」と言ってあげたらすごく喜んでいました。
一部始終を見ていた守衛さんに爆笑されながらホテルに入り、無事部屋も取れて後は快適なインドライフとなりました。ちなみにもともと泊まろうとしていたホテルになぜか泊まることができていた日本人の学会参加者がいらっしゃったのですが、話を聞くにシャワーのお湯が出ないとか窓が閉まらないとか大変だったそう。そのホテルに泊まれていたとしてもインドの洗礼を受けることは運命付けられていたようです。
学会に来ていたインドの方とも話して思いましたが、インド人は一度話して打ち解けるとめちゃくちゃ親切で世話焼きみたいです。インドに行った人は帰ってこなくなるとか言われますが、この人柄に魅せられてしまうのも一因かも知れません。現に名前も知らないあのバイクの兄ちゃんにまた会いたいなと思ってしまってる自分がいますから。
というわけでインドの洗礼を受けつつ、世話焼きなインド人の人柄にも触れたなかなかスパイシーなインドデビューでした。あくまで学会に参加したときのエピソードですからねこれ(笑)