東大院生ショータのなるほどアウトプット~バイオ研究者への道~

生物学系研究者を目指す大学院生のブログ。学びや気付きのアウトプットをしていきます。

学振DC-1に採用された僕が、参考にした本など紹介します

久しぶりのブログ更新です。

修士の学位を受け取り、博士課程の入試も終わり、修士課程を卒業して博士課程へ進学することが正式に決まっています。幸いなことに、学振DC-1に採択されまして、2021年4月からは生活費と研究費の支援をいただきながら今後3年間研究できることになりました。

 

多くの人はB4(人によってはB3)からの研究の蓄積がある中、大学院で研究室を移籍した人は研究業績を積みにくく、特にM2で申請するDC-1は厳しい戦いです。申請直前のM1の3月になってやっとデータが出始め、そこから速攻で考察して死ぬ気で申請書を書き上げました(汗) 二次審査からのギリギリ滑り込み合格で、最後はもう紙一重の世界なので、運が良かったと思います。一次審査で余裕で合格する人には実力も業績も遠く及ばないですが、申請者作成に当たって参考にしたものや戦略をまとめたいと思います。令和4年度からは学振申請書の様式も大きく変わっていますが、基本は変わらないはずなので参考までに。ちなみに、二次審査の面接はコロナの影響で中止になり、申請書の再審査という形になりました。

 

 

大上先生の学振本

学振申請者のバイブル、大上先生の有名な本です。申請書の指示に従って聞かれたことに答えていく大切さや、項目立てて見やすくレイアウトする技法を学べます。実際の申請書の例を豊富に見られるので、イメージが湧きやすくなると思います。様式変更に合わせた改訂版が発売されるようなので、そちらの版のリンクを貼っておきます!

 

https://amzn.to/3OMx5ij

 

 

大上先生の学振解説スライド

slideshareというサイトでは大上先生の学振申請ポイント解説スライドが公開されています。先に紹介した本と内容はだいたい同じですので、ざっと目を通しておくと良いと思います。こちらも、様式変更に対応した2022年度申請版がアップされています。大上先生仕事早すぎ!

www.slideshare.net

 

『できる研究者の科研費・学振申請書 採択される技術とコツ』

研究費の申請書で何を書くべきなのかを深堀りして学べる本です。この本を読むと申請書の内容の充実度がグッと上がると思います。例えば、研究の背景や着想に至った経緯では、

  1. □□について、これまで〜なことがわかってきた。
  2. 一方、〇〇についてはわかっていなかった。
  3. だから、〇〇を明らかにしたい。

といったロジックで書く人が多いと思います。でもこれだと説得力が圧倒的に足りないんですよね。もっと書くべき内容としては、

  • なぜその問題は未解決のまま放置されてきたのか?
  • その未解決問題でどのような弊害が起きているのか?
  • なぜ自分の研究で、これまで解決できなかった未解決問題を解決できるのか?
  • その問題を解決することがどのような影響を与えるか?

などなどたくさん考えられます。申請書の余白を前にして、何を書いたらいいんだろうと手が止まってしまったときや、ブラッシュアップしてもっと内容を充実させたいときヒントを与えてくれる一冊です!

 

 

Dr.クラゲさんのyoutubeチャンネル

分類学の研究をされていて現在ポスドクをされている方のyoutubeチャンネルで、時に業界の闇に切り込んだりしつつ、熱いお話が聞けます。学振必勝講座シリーズでは、DC1 不採用となった後DC2で採用された経験をもとに、申請書作成のポイントが熱く語られています。特に、「申請内容ファイルは夢を書く場所」「大きく入って大きく出る」は名言だと思います。

 


【学振“必勝”講座】其の⑥~申請内容ファイル攻略・前半戦~

 

 

令和4年度採用分から、学振の研究内容ファイルの様式がこれまでとは大きく変わりました。具体的には、枠が撤廃された他、「これまでの研究状況」を書く項目が無くなりました。さらに業績欄も無くなり「研究遂行能力の自己分析」に変わっています。志望動機、アピールポイント欄は「目指す研究者像」になり、それを実現するためにどのようなことに取り組むかまで書くようになっています。業績のウエイトが軽くなり人物像重視になったと取れるこのような変化は、コロナ禍による大学の閉鎖などの影響を強く受けた人とそうでない人の格差を無くす意義があるのかもしれません。いずれにせよ、業績が少ない人にとっては戦いやすくなった変化だと言えると思います。

 

様式の変化はあるものの、誰にでも伝わるように書く、読みやすいレイアウトにする、聞かれたことにきちんと答えるといった基本は変わらないはずです。上述した本などをぜひ参考にしてみてください。