東大院生ショータのなるほどアウトプット~バイオ研究者への道~

生物学系研究者を目指す大学院生のブログ。学びや気付きのアウトプットをしていきます。

めちゃくちゃお得に大学院生活を送るための3か条

大学院生の悩みで上位に来るものといえばやはり金銭面ではないでしょうか。

しっかりと情報収集して様々な制度を活用すれば、経済的な支援を受けるチャンスはたくさんあります。

僕自身、かなりお得に修士課程を卒業することができましたので、活用した制度などをご紹介します。

 

 

 

授業料免除

僕の場合は幸か不幸か、理系の大学院まで来るような人の中では親の年収が低めなので、修士2年間の授業料が全額免除になりました。ちなみに学部(地方国立大学)時代も、申請しなかった1年生を除いてずっと授業料免除だったので、修士卒業までの6年間で53万円しか授業料を払っていないことになります。源泉徴収票や所得証明を揃えたり手続きは面倒ですが、どの大学にもこういう制度はあると思いますので、ダメ元でも申請する価値はあると思います。

 

日本学生支援機構(JASSO)奨学金及び返還免除

これは多くの人にとって馴染みがあるかと思います。僕も第一種(無利子)の奨学金を120万円借りていました。

ここからが大事なのですが、大学院で借りる第一種奨学金には「特に優れた業績による返還免除」という制度があるのをご存知でしょうか。

大学院で第一種奨学金の貸与を受けた学生であって、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者として日本学生支援機構が認定した人を対象に、その奨学金の全額または半額を返還免除する制度です。
学問分野での顕著な成果や発明・発見のほか、専攻分野に関する文化・芸術・スポーツにおけるめざましい活躍、ボランティア等での顕著な社会貢献等も含めて評価し、学生の学修へのインセンティブ向上を目的としています。
貸与終了時に大学に申請し、大学長から推薦された人を対象として、本機構の業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審議を経て決定されます。 

日本学生支援機構ホームページ, 「特に優れた業績による返還免除」より引用)

 

一般に、各研究科の上位30%に入ると全額or半額の返還免除が受けられると言われています。修論で死ぬほど忙しいM2の1月頃に申請しますが、このとき修士課程の研究内容や業績の証明書をまとめて研究科に提出し、修論審査の成績も踏まえて研究科で推薦者が決定されます。推薦されてしまえばほぼ確実に返還免除がJASSO側から認定されます。

 

僕は半額免除を受けることができました。ちなみに修士課程までの業績は論文0、国際学会ポスター発表1回、国内学会ポスター発表1回、その他学振に採用されたこと(外部資金の獲得)、TAの勤務経験、若手の会で院生の交流イベント運営に携わっていることをアピールしました。後の修論審査では、専攻内3位で奨励賞を受賞しました。

  

給付型奨学金

返済の必要がない給付型の奨学金も色々あります。私は岩垂奨学会の奨学金で65万円の支援をいただくことができました。院への進学後すぐに学内掲示板で給付型奨学金を調べ、自分が申請可能なもので締め切りが間に合うのがこれだけだったのでとりあえず申請した、という感じだったと記憶しています。申請には研究計画書などが必要で、書類の作成はたしかに大変でしたが、これがのちに学振申請書を書く際の練習にもなりました。岩垂奨学会は東大、京大、名古屋大からしか募集していないので、東大の院へ外部進学したメリットを享受できた場面でした。

 

給付型奨学金には分野に特化したものや、出身地に特化したものなど様々なくくりのものがあります。自分が応募できる給付型奨学金が何で、その締め切りはいつなのかを一度調べてリストアップしておくことをお勧めします。

 

学振

日本学術振興会特別研究員、通称「学振(ガクシン)」。博士後期課程に進学するほぼ全ての分野の人を対象に、月20万円程度の給料(研究奨励金)と年間100万円前後の研究費を支援する言わずと知れた制度です。M2で申請してD1から採用となるDC-1と、D1、D2で申請して翌年度から採用になるDC-2とに分かれています。

僕は幸運にもDC-1に採用されました。副業禁止やそもそもの額面の少なさなど、色々言われていますが、やっぱり親に迷惑をかけずに博士課程で研究を続けられるということがもたらす精神面でのメリットは何にも替えがたいものがあることを実感しています。

採用率は概ね20%程度です。学振に関しては過去記事をぜひ御覧ください。

 

www.shota-output.work

 

お得な大学院生活を送る3ヶ条

さて、これまで紹介したように色々な制度をフル活用した結果、授業料タダな上に65万円いただき、借りていた無利子の奨学金も返還免除になりそうというかなりお得な修士課程を送ることができました。さらに学振にも採用されることができました。修士からラボを変えたこともあり業績の少ない僕でもここまでできた理由を振り返り、お得な大学院生活を送る3ヶ条をお伝えしたいと思います。

 

1.情報収集が命

授業料免除にしても、奨学金にしても、基本誰も教えてくれないので、自分で情報収集しないことには何も始まりません。お得に院生生活を送るにはとにかく情報が命、逆に言えば知っている人だけが得をできます。この記事で紹介した以外にもたくさんの奨学金や経済援助の仕組みがあるはずですので、常にアンテナを張って調べることをお勧めします。

 

2.手続きの面倒さに勝つ

授業料免除であれば親の源泉徴収票や所得証明書をそろえたり、給付型奨学金なら研究計画書を書いたりと、お金をもらうための手続きはめちゃくちゃめんどくさいものばかりです。締め切り間際にかぎって研究が忙しくなったりして、もう出すのやめちゃおうと何度思ったかわかりません。ですがそのメンドクサイ数枚のA4書類が諭吉さん数十人に化ける可能性があるわけです。考え方を変えれば、面倒臭いほどライバルが出すのを諦めるので、自分が出せば採用される確率が高くなります。面倒臭さに打ち勝って、遺漏なく申請手続きをやり切りましょう。

 

3.研究を頑張って業績を積む(特に学会発表)

もちろん、研究を頑張って、業績があればあるほど経済支援も受けやすくなります。客観的に評価できる成果を出すことが大事ですので、論文を出せればベストですが、そこまでたどり着かない人も多いと思います。そこで、学会発表を積極的に行うことをお勧めします。学会発表はやる気さえあれば、データが少なくてもなんとかなる場合が多いですし、発表すれば業績欄に書けます。僕は指導教員を説得して国際学会に半ば強引に出させてもらいましたが、学振が取れたのもそのおかげという部分は多少あるはずです。自分の研究をアウトプットする機会は必ずその後に生きますので、積極的に学会発表に挑むべきです。

 

 

 

近頃はにわかに院生支援の動きが広まってきて、新しい経済支援制度もできています。

しっかり情報収集して工夫すれば経済的な負担を少なく大学院生活を送ることは可能ですよ!